窓付きの、

人生の備忘録までに。とくに面白いことは言いません。

夜蝉

 


どこからか家に帰るときに
一駅前で降りて歩くのが好き


それが夜なら殊更。

 

最寄りの駅から家までには大学があって
大きな楠木が立っている

バスに乗る予定もないのに
すこしバス停に座ったりする

 

夜蝉が鳴いている

 

思い返せば
夏はずっと苦手だったけれど
蝉は好きだった

 

小学生の時に
蝉で母が呼ぶ声が聞こえないという
短歌をつくり、賞をもらったと思う
(祖父に大きく手直しされたけれど)


そんなことをぼんやり思い出しながら
少し汗ばむ髪を もう帰るだけだし、と
適当にひとつに縛る

首に風と音が抜けていく


 

この半年間、本当にいろんなことが起きた
わたしを含めた人類すべてに。

 

いつも 事実と真実が混同してしまわないように
気をつけているつもりだけど、もういちど篩に掛ける


変わったのは 地球で、社会で、暮らし方で。
変わらないで済んだのは 自分


夜蝉も 生きて鳴くだけ
私もそう


大小問わず、ご無用なことに心乱されることがないよう
これからも変わらず生きていこう

(無用じゃないことに心乱されるのはだいすき)